月刊の「エルマガジン」休刊以降、関西の小劇場芝居の情報が手に入りにくくなった...とお嘆きの演劇ファンの皆様。エルマガがあれば間違いなくトップで押していたであろう劇団を、せめてブログでご紹介させていただきます。
それは、6月末に精華小劇場で初の大阪公演を行う「ハイバイ(http://hi-bye.net/)」。「笑えるトラウマ」をテーマにした、一見まともに見えてその実いろいろ歪みまくってる"おだやかに狂った会話劇"で、東京では熱い注目を集めている劇団なんですよ。
というわけでプロモーションで来阪した、劇団主宰で作・演出家の岩井秀人さんに、ハイバイの特徴や大阪公演の抱負などを聞いて参りました。クスクスっと笑えるけれど、ときどきズキンと胸に来るスイート・ビターな世界、本っ当に必見です!

『リサイクルショップ『KOBITO』』東京公演より 撮影:曳野若菜
●演劇のギリギリOKな1割の部分、で作る芝居。
僕は16歳から4年間、いわゆる引きこもりの生活を送ってたんです。高校に行かなくなって、1日中部屋に籠もって映画ばかり観てる暮らしが続きました。
でも20歳になった頃「大学に入って映画を作ろう」と思いたち、芝居の作り方を学ぶために演劇科のある大学に入学したんです。
だけど演劇って、9割方「自分には無理」と思ってしまう世界で(笑)。でも残り1割の、ギリギリOKな部分でやっていきたいと考えていた時に、岩松了さんや平田オリザさんの作品に出会って「これだ!」と。
ああいう特定の人間だけにフォーカスが当たってなかったり、現実を現実として淡々と描く芝居だったら、自分もできるんじゃないかなあと思えたんです。
結局大学で学んだのは「ああいう演劇さえやらなければ大丈夫」という、反面教師的な教えが一番大きいですね(笑)。
●ノンフィクションの台本と超フィクションの演出。
僕が作る芝居は、うちの家族とか大学時代の話とか、自分が体験したことばかりなんですよ。自分の周辺1mの範囲のことしか書けない(笑)。完全なフィクションは怖いですね。嘘がバレる怖さというか...全くの作り事からは、僕のやりたい世界は生まれないんだと思います。
でもその一方で、演出では嘘をつきまくっているんですよ。たとえば家族をモデルにした話をする時に、母親役を女優ではなく男優や、あるいは僕自身が演じたり。というか僕は、母親やオバちゃんの役がしたくて、舞台に立ってるのかもしれません。
僕が女性を演じるなんて、完全に「嘘」じゃないですか? でも「これは嘘の僕だ」と言い聞かせれば、人前で言えたりできたりすることがあるんです。それは心理カウンセラーでもある、うちの母にも指摘されました(笑)。「あんたは自分じゃないフリをして初めて、本当に言いたいことが言えるのよ」って。
●男優が演じる、かしましいオバちゃんたちのお話。
『リサイクルショップ『KOBITO』』は、僕の母が経営しているリサイクルショップと、そこの常連であるオバちゃんたちをモデルにした会話劇です。母の店に集まるオバちゃんって、狂騒状態かと思うぐらいにぎやかな人ばかりで(笑)。
どうしてここまで騒ぐのか? と思って、1人1人に話を聞いてみたんですよ。そうしたら当然だけど、誰もがいろんな人生の山や谷を経験しているし、恋する女の子だった時代もあるわけで。
もしかしてオバちゃんたちには、騒がねばならない理由があるんじゃないか? 何かの祭を続ける必要があるんじゃないか? と。そこをしょっぱくなり過ぎない程度に、うまく伝えられる話にしたいです。
あとオバちゃんを演じるのは、僕も含めて全員男優。まず最初に僕が「こういう人たちを演じてみたい」と思ったところから始まった芝居なので...彼らが"オバちゃん"をどう演じるのかも、今回の見どころですね。
●「笑いきるだけで終わられちゃったら怖い」。
以前関西で、芝居に出演したことがあるんです。その時東京と違って"お客さんが劇場に楽しみに来ている"という感覚を客席から強く感じたのと、終演後に直接「面白かったよ」と伝えてくれたのが印象に残ってます。
そもそも「観たことがない人に観てほしい」というのが僕の最もやりたいことですし、そういう意味では春の名古屋に続いて大阪でも公演が打てるのは、すごく嬉しいです。
ただ場所が大阪だけに、笑いきるだけで終わられちゃったら怖いなあとは思うけど(笑)、そういう計算違いもそれはそれで楽しくなるんじゃないでしょうか。
でも自分が観たいと思う世界を正確に作るのが、僕の仕事。初めての土地でもいつも通りの、ハイバイならではの芝居をお見せできればと思います。
余談ですがこの取材の後、岩井さんに「大阪にはスマートボール専門の店があるんですよ」と教えたら、すごい勢いで「どこにあるんですか? 台はどれぐらいありますか?」と逆取材されました。
そして彼のブログ(http://yaplog.jp/iwaihideto/)によると、その翌日に「通天閣の近所」というキーワードだけを頼りにお店を発見し、そのまま2,000円も使ってしまったそうです(笑)。
もしかしたら公演期間中に新世界を歩いていたら、スマートボールにリベンジをかける岩井さんに遭遇できるかも?!
(ライター吉永美和子)
【DATE】
ハイバイ『リサイクルショップ『KOBITO』』
6月25日(木)〜28(日)@精華小劇場
25・26日...19時30分開演
27日...14時30分・19時開演
28日...14時30分開演
※25日は本広克行(映画監督)とのアフタートークあり
前売2,500円 当日3,000円
チケット・会場詳細は→こちら
それは、6月末に精華小劇場で初の大阪公演を行う「ハイバイ(http://hi-bye.net/)」。「笑えるトラウマ」をテーマにした、一見まともに見えてその実いろいろ歪みまくってる"おだやかに狂った会話劇"で、東京では熱い注目を集めている劇団なんですよ。
というわけでプロモーションで来阪した、劇団主宰で作・演出家の岩井秀人さんに、ハイバイの特徴や大阪公演の抱負などを聞いて参りました。クスクスっと笑えるけれど、ときどきズキンと胸に来るスイート・ビターな世界、本っ当に必見です!
『リサイクルショップ『KOBITO』』東京公演より 撮影:曳野若菜
●演劇のギリギリOKな1割の部分、で作る芝居。
僕は16歳から4年間、いわゆる引きこもりの生活を送ってたんです。高校に行かなくなって、1日中部屋に籠もって映画ばかり観てる暮らしが続きました。
でも20歳になった頃「大学に入って映画を作ろう」と思いたち、芝居の作り方を学ぶために演劇科のある大学に入学したんです。
だけど演劇って、9割方「自分には無理」と思ってしまう世界で(笑)。でも残り1割の、ギリギリOKな部分でやっていきたいと考えていた時に、岩松了さんや平田オリザさんの作品に出会って「これだ!」と。
ああいう特定の人間だけにフォーカスが当たってなかったり、現実を現実として淡々と描く芝居だったら、自分もできるんじゃないかなあと思えたんです。
結局大学で学んだのは「ああいう演劇さえやらなければ大丈夫」という、反面教師的な教えが一番大きいですね(笑)。
●ノンフィクションの台本と超フィクションの演出。
僕が作る芝居は、うちの家族とか大学時代の話とか、自分が体験したことばかりなんですよ。自分の周辺1mの範囲のことしか書けない(笑)。完全なフィクションは怖いですね。嘘がバレる怖さというか...全くの作り事からは、僕のやりたい世界は生まれないんだと思います。
でもその一方で、演出では嘘をつきまくっているんですよ。たとえば家族をモデルにした話をする時に、母親役を女優ではなく男優や、あるいは僕自身が演じたり。というか僕は、母親やオバちゃんの役がしたくて、舞台に立ってるのかもしれません。
僕が女性を演じるなんて、完全に「嘘」じゃないですか? でも「これは嘘の僕だ」と言い聞かせれば、人前で言えたりできたりすることがあるんです。それは心理カウンセラーでもある、うちの母にも指摘されました(笑)。「あんたは自分じゃないフリをして初めて、本当に言いたいことが言えるのよ」って。
●男優が演じる、かしましいオバちゃんたちのお話。
『リサイクルショップ『KOBITO』』は、僕の母が経営しているリサイクルショップと、そこの常連であるオバちゃんたちをモデルにした会話劇です。母の店に集まるオバちゃんって、狂騒状態かと思うぐらいにぎやかな人ばかりで(笑)。
どうしてここまで騒ぐのか? と思って、1人1人に話を聞いてみたんですよ。そうしたら当然だけど、誰もがいろんな人生の山や谷を経験しているし、恋する女の子だった時代もあるわけで。
もしかしてオバちゃんたちには、騒がねばならない理由があるんじゃないか? 何かの祭を続ける必要があるんじゃないか? と。そこをしょっぱくなり過ぎない程度に、うまく伝えられる話にしたいです。
あとオバちゃんを演じるのは、僕も含めて全員男優。まず最初に僕が「こういう人たちを演じてみたい」と思ったところから始まった芝居なので...彼らが"オバちゃん"をどう演じるのかも、今回の見どころですね。
●「笑いきるだけで終わられちゃったら怖い」。
以前関西で、芝居に出演したことがあるんです。その時東京と違って"お客さんが劇場に楽しみに来ている"という感覚を客席から強く感じたのと、終演後に直接「面白かったよ」と伝えてくれたのが印象に残ってます。
そもそも「観たことがない人に観てほしい」というのが僕の最もやりたいことですし、そういう意味では春の名古屋に続いて大阪でも公演が打てるのは、すごく嬉しいです。
ただ場所が大阪だけに、笑いきるだけで終わられちゃったら怖いなあとは思うけど(笑)、そういう計算違いもそれはそれで楽しくなるんじゃないでしょうか。
でも自分が観たいと思う世界を正確に作るのが、僕の仕事。初めての土地でもいつも通りの、ハイバイならではの芝居をお見せできればと思います。
余談ですがこの取材の後、岩井さんに「大阪にはスマートボール専門の店があるんですよ」と教えたら、すごい勢いで「どこにあるんですか? 台はどれぐらいありますか?」と逆取材されました。
そして彼のブログ(http://yaplog.jp/iwaihideto/)によると、その翌日に「通天閣の近所」というキーワードだけを頼りにお店を発見し、そのまま2,000円も使ってしまったそうです(笑)。
もしかしたら公演期間中に新世界を歩いていたら、スマートボールにリベンジをかける岩井さんに遭遇できるかも?!
(ライター吉永美和子)
【DATE】
ハイバイ『リサイクルショップ『KOBITO』』
6月25日(木)〜28(日)@精華小劇場
25・26日...19時30分開演
27日...14時30分・19時開演
28日...14時30分開演
※25日は本広克行(映画監督)とのアフタートークあり
前売2,500円 当日3,000円
チケット・会場詳細は→こちら